忘れもの

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それから、どのくらい経ったのだろう。 頭から布団に潜り込んではみたものの、かえって美優の顔が頭から離れなくなってしまい、全く寝付けない。 手探りでスマホを探し当て、手に取って掲げると、ロック画面がぼんやりと浮かび上がった。 ---まだ6時にもなってないじゃん…。 いつも起きる時間より1時間以上早いけど、これ以上頑張っても眠れそうにないので、そのまま起きることにした。 ---って、起きてもすることねぇし、朝メシでも食べるか…。 僕はスマホを再びベッドの上に放り投げると、ベッドからのっそりと立ち上がった。 いつも朝はパン派。 美優はご飯派だったので、彼女が出て行く前はパンと白ごはんが1日おきだった。 でも彼女が出て行ってからは、同棲する前のようにパンばっかり。 食パンを食べようとトースターに手をかけた時、いつもは蓋が開いているはずの炊飯器の蓋が閉まっていることに気がついた。 ---そういや、昨夜のご飯が残ってたんだっけ…。 昨夜炊いたご飯が、まだ炊飯器の中に残ったままになっていることを思い出した。 今からそのご飯を取り出して冷凍してもいいけど、食べ切ってしまった方が、なんとなくこの後がラクのような気がして、今朝はその残っていたご飯を食べてしまうことにした。 とはいえ、昨夜のおかずは残ってないし、ふりかけや海苔なんかは、そもそも今の僕の部屋には存在しない。 パン派だけあって、冷蔵庫の中にはマーガリンやジャム類は置いてあるけど、白ごはんにマーマレードって訳にもいくまい。 「しゃーない。久しぶりに卵かけご飯にするか」 僕は、冷蔵庫のドアの内側に並ぶ、一昨日買った卵を見つめながら、ポツリとつぶやいた。
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