アンナちゃんのお願い

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翌日の晩、母親がお礼のケーキを持って、お皿を返しに部屋に来た。恐縮しながら受け取る。 「有難う御座います。何か、エサを作って頂いたそうで」 「へ?」 「昨日パパにエサを買うようにお金渡して会社に行ったんですけど、帰ったらパパが居なくて。エサはどうしたのか娘に聞いたら、貴方に作って頂いたって」 困惑の表情になったのは、頭の中が「?」で埋め尽くされたのが100%。 「ユイちゃんって?」 「ウチで飼ってるニワトリです。何を作って頂いたのか聞いたら「いつもママが作る黄色いの!」って答えたから、茹でトウモロコシだと思ったんですけど。違うんですか?」 「えーと......まあ、そんな所です」 「沢山作って頂いて娘も食べたみたいで、とても美味しかったって喜んでましたよ」 「あの、元気が無くてジッとしてるって言うのは?」 「一昨日冗談でユイちゃんにスーパーで買った玉子を渡したら気に入ったみたいで、温めるようになったんですよ~」 ドアが閉まった後、うわ~とその場にしゃがみ込んだ。 だから最近朝になるとコケコッコーって鳴き声がするのか。ってか、ウチのアパートはペットOKだったっけ? 娘の面倒を放っぽり投げて、パパはどこに行っちゃったんだろうなあ。 あ、そうだ。次にアンナちゃんがお母さんのオムライスを食べた時に、「オジちゃんの方が美味しい!」って言わないと良いなぁ......。
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