紫色のたまご

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「お、おう。何かお前変わったな。強くなったっていうか、とにかく期待してるからな」  俺はあれから、ストレスが溜まるたびに赤いたまごに向かってストレスをぶつけていた。そして、そのストレスを紫色のたまごがすべて吸収してくれるおかげで、俺はいつもストレスフリー。一度や二度の失敗ではへこたれずに三度目の正直ではないけれど、まさに不撓不屈(ふとうふくつ)を絵に描いたような存在になっていた。  俺が変わっていったのと同じように、紫色だったたまごはしだいに藍色(あいいろ)になっていた。  紫が薄くなって藍色になった。これは、俺の心が自殺しそうなくらいやばい冷たい状況だったのが改善されてきている証拠だろう。このたまごは、俺のストレスを吸収しつつ、俺の心の状態を表しているんだろうな。  だとすると目標はやはり赤だな。寒さは青系で、温かさは赤系。俺の心が温かさで満たされたなら、このたまごは赤に変わるはず。  今更ながら、あの男性に感謝しないとな。こんなスーパーアイテムを貸してくれたんだから。 ◆◇◆◇  それからも俺は事あるごとに、たまごに向かってストレスをぶつけていった。その影響で、社内での俺の評価は"器の大きな、心の折れない男"となっていた。上司の評価もあがり、周囲の見る目もかわってきた。特に女子社員からは、素敵な男性社員として熱い視線を浴びることも多くなっていた。  たまごは今や完全に黄色になっていた。最近の俺の調子の良さなら、もう少ししたら赤に変わるだろう。しかし、問題も生じていた。
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