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【〇〇年●月×日
人魚を守るエッグマン男爵の屋敷近くの砂浜にて大量殺人事件。何故か屋敷の人々は全員砂浜に行ってしまっていたため、生存者0。事件を見た者はおらず、守られていたはずの人魚も消えていた。発見された時には男爵家に居たと思わしき人物の遺体はミイラ化しており、流血した様子は一切なく、獣か鳥に啄まれた跡のみがあったという。
いつ起きた殺人か推測がつかないのと血液や犯人の証拠といったものが見つからず捜査はやむなく打ち切り。全ての人間が男爵家だったこともあり悲しむ遺族もないためこの事件は捜査不可能として闇に葬られた。ただ不思議なことに、その砂浜には空の色と全く同じ色をした欠片がいくつも落ちていたという。
生物学者はこれを何かの卵の殻ではないかと話しており、もしかすると卵の中にいた大型の生物が虐殺し海に消えたのではないかと話しており、捜査隊はその線が濃厚と捉え現在エッグマン男爵の屋敷付近は封鎖となっており――――……】
新聞記事には、謎の生物の予測について研究者の推測が綴られており、それを眺めていた水色の髪を背中に流した女性はつまらない紙の塊をくしゃくしゃに丸めて海へと捨てた。そしてつまらなそうにため息をつき、事件現場とされる砂場へと視線を下げるとにっこり笑って裸足で踏みしめ始めた。
まるで、初めての感触に感動して飽きず研究する赤子の探索活動のように……
fin
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