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「心筋梗塞とか脳卒中などの病気説もある」
「病死がそこまで恥ずべきものとも思わないけど。新選組全体で真相を隠そうとしたのなら、どうしてなのかしら？」
「何かの理由で脱走したり、密かに粛清されたのでなければ、そこまで隠さなくても」
「まだアレルギーの観念はないだろうけれど突然死の理由であっても不思議はないわね。小麦、卵、牛乳…」
「乳製品アレルギーはありそう。新選組隊士が牛乳を飲んでた話は聞かないけど」
夏奈がアイスカフェオレを飲み干す。
ひかりは最後の一口のホットケーキにフォークを刺す。
「あ、夏奈。松本良順が新選組の頓所になってた西本願寺を訪れたのはいつかしら」
「ちょっと待って。新選組年表アプリ見る」
夏奈がスマホを確認する。
「慶応元年閏五月に奥医師の良順先生が上洛してるから、その頃ね」
「良順先生が豚を飼うことをすすめたじゃない。豚肉アレルギーだったりして。谷が死亡したのは慶応二年四月か。ちょっと間があるわね。この説は無理があるかな」
「子豚を育ててたんじゃない？」
夏奈が笑いながらつぶやく。
「あはは」
ひかりも笑うと口元をぬぐった。
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