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二人が参加した遺跡現場にはパートの主婦が何人が在籍していた。
初日はいろいろと説明を受け、午後のお茶の時間になった。近くにコンビニがあるのでコーヒーを買いに行こうとすると、パートの白蓮喜子がどこへ行くのかととがめた。コーヒーを買いにというと
「まあ、口がおごっているのね」
ともう一人のパートの清水享子がイヤミっぽく言った。
「お茶にしなさい、お金がもったいないでしょう。バイトのお給料は全額家に入れてるわよね」
喜子が当然のように強く言った。
二人は顔を見合わせた。
「あの、何かいくないんですか?」
真希が聞く。
「先輩が誰もコーヒーを飲まないのにあなただけ飲むつもりなの」
「…それって人それぞれの好みですよね」
「まあ、へ理屈を。徳丸文化大のくせに。私はW大だから、うちの子だったら絶対に行かせないわ」
真希も沙也も唖然とした。
そこへ喜子と享子よりは若い女性がお茶を持って来た。
申し訳なさげな眼をしていた。
腹立ちをこらえながら、真希と沙也はお茶をのんだ。のどはからからだったから冷たいコーヒーが飲みたい。
そこへ喜子がクッキーを配った。沙也は真希にそっと渡したが喜子は見逃さなかった。
「何で食べないの」
「私、小麦がアレルギーなんです」
「なんで。うちの子、これ大好きなのよ。一つくらい食べなさい。好き嫌い言わないの」
「嫌い云々じゃないんです。アレルギーです」
「甘やかすからだめなのよ」
「命に関わることですよ」
真希も言ったが、喜子には通じない。
「クッキーを食べない子なんて見たことないわ。変な子。親がどうかしてるわ」
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