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幸い、沙也の回復は順調だった。
もちろん学生たちの腹立ちは収まらない。
「今時アレルギーに理解が無いなんてね」
ひかりは真希に何度も口にした。
「ホント腹立つ。でも、田柄先生が色紙を書いてくれて、沙也もそれから元気になったよ。スゴい妙薬」
ひかりの父は人気作家の田柄秀俊である。
史学科学生たちにも最新作の卑弥呼を主人公とした小説『天空の女(ひと)』が大好評で、同作の掲載された歴史雑誌『古今往来』が回し読みされていた。おかげで准教授の支倉から禁止令が出てしまったほどだ。
秀俊と『天空の女』のイラストを描いた出雲サラノのサイン色紙が沙也の病室に飾られ学生たちも驚いた。
「あの卑弥呼の画像のパワーは効いたわね。良かった」
「ホント、ひかりと先生たちのおかげ。感謝だよ」
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