アレルギー 夏奈のゆったり事件簿②

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夏奈とひかりは久々に喫茶店パープルブルーに立ち寄った。沙也のことがあって、のんべんだらりとお茶をする気にはなれなかったのだ。 「アイスカフェオレ頼んじゃおっかな。ホットケーキも」 「私も!」 ひかりもようやく気持ちが落ち着いたようだ。 「それにしても怖いねえ、アレルギーって」 夏奈はノンシュガーのアイスカフェオレを口にする。 「今まで身近にいなかったから気にかけなかったけれど、ほんと、沙也も災難だったわ。来週退院できるって、良かった」 「ひどいよね、あの遺跡のオバサン」 「二言目には私はW大を出たとか、うちの子はこれ大好きなのに、とか。狭い価値観よね。大事な大事な息子さんの将来の子供がアレルギーだったらどうするのかしら」 「パニックになるだろうね」 「昔はアレルギーの観念があまりなかったらしいけど。そういえばパパの通ってた幼稚園に幼児の遺影があったんですって。突然死した子ども、って言われて良くわからなかったけれど、アレルギーだったのかもしれないって、いつか言ってたな」 「そんな、最近なんだ、アレルギーが広まったのって。じゃあ昔の子どもたちが多く亡くなったのもアレルギーが一因かも」
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