不思議な縁

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「あ、あのさ」 疲れて眠ってしまったソレを起こさないように声をひそめると、黒沢は不思議そうに首を傾げた。 「なんだよ、改まって」 「えっと、その……、僕と、友だちになって欲しいんだ」 黒沢を真っ直ぐに見つめながら思い切って言ってみた。 「は?」 え? あれ、嘘、嫌がられた!?   もしかして、駄目だった? 予想外の反応に戸惑い不安が込み上げてくる。 「ふは、ばーか。もうとっくに俺ら友達だろ? 少なくとも俺は、そう思ってたよ」 黒沢は呆れながらも優しく微笑むと、真央の頭をポンと叩いた。 「えっ!? そうだったの!?」 「マジかよ鈍感すぎるだろ……まぁ、俺はそういう所が好きなんだけど」 「ん? 何か言った?」 上手く聞き取れなくて訊ねると、黒沢は何でもないと言って首を振って窓の外に視線を移す。 その先にはちょうど雲の切れ間から美しい虹が二本掛かっているのが見えた。 「知ってるか? 二重の虹って、『何かに迷ったり苦しんでいたとしても、努力が実を結び、それが終わる事のサイン』って言われてるんだ。だからさ、きっともう大丈夫だ」 黒沢の言葉に、真央の顔に自然と笑顔が浮かんだ。あぁ、そうだね。きっと、大丈夫。 だって、黒沢君が傍に居るんだもん。 きっとこれから先も、ずっと――。
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