玉子を求めし者たち

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「ここを通すわけにはいかないな」  目の前に立ちふさがる男が、俺を見据えて言った。 「まさか、お前も……?」  尋ねると、男は黙ったままで頷いた。やはり、こいつも俺と同じ目的で……。 「何も言わずに、そこをどいてくれないか?」  問いかけるが、男は静かに目を瞑りゆっくりと首を横に振る。 「どうしても、通してくれないのか?」  拳を握りしめ、乞うように再び問いかける。 「くどいぞ」  しかし、少しも心を動かすことなく一蹴されてしまう。  どうやら、他に方法はないらしい。  俺が臨戦態勢に構えると、男も同じように構える。  どうして、こんな事になってしまったんだろうか。  何か他に方法はなかったんだろうか。  心のなかで葛藤しながら、俺は今日の出来事を思い返した。
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