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目覚め
次の日の朝。私が目を覚ますと、ベッドの脇には魔王ステファンが立っていた。
「やっと起きたか」
「えっ‥‥‥。もしかして私、寝坊しましたか?」
「もう仕事は始まってる時間だ‥‥‥。今日は休め」
「そんな‥‥‥。出ます!!」
そう言って立ち上がろうとしたが、下半身に力が入らなかった。魔王ステファンは、私をすくい上げる様に横抱きにすると、再びベッドへ寝かせた。
「いいから休んでおけ‥‥‥。体調が良くなってから働かないと、お仕置きするからな」
「ひっ‥‥‥」
魔王ステファンは黒い渦を出現させると、転移していった。コリアンナさんがやって来て、薬湯を手渡してくれる。
「朝から仲がよろしいようで何よりです」
(いや、そんなんじゃないんだけど!!)
否定したかったが、言うわけにも行かず、大人しく薬湯を飲むと、再びベッドへ入り‥‥‥。横になっていたら、いつの間にか眠っていたのだった。
*****
目が覚めると、窓の外は既に暗かった。何か飲み物を‥‥‥。そう思って立ち上がると、部屋の中が暗くて何かに躓いてしまった。
「どうしたんだ?」
向かいのドアが開くと、ステファン様が顔を覗かせた。もう寝るところだったのか、寝間着を来ている。
「みず‥‥‥。お水をください」
「待ってろ。今、用意してやる」
ダイニングの椅子に座らせられると、ステファン様は何処からか水を汲んできた。
「コリアンナは寝てるからな‥‥‥。大丈夫だ。俺が汲んできた」
「‥‥‥ありがとうございます」
私は水を一気飲みすると、ステファン様にお礼を言った。
「ありがとうございます。もう夜なんですね‥‥‥。すみません、寝るところでしたか?」
「いや‥‥‥。寝れなくて、仕事をしていたんだ」
「ほどほどに‥‥‥。って、私が言うのもおかしいかもしれませんが‥‥‥。ありがとうございました。助けていただいて‥‥‥。何とお礼を言ったらいいか‥‥‥」
「なんだ、そんなこと‥‥‥。当然だろう。気にするな」
「その、ステファン様の血が‥‥‥」
「ああ‥‥‥。まだ若いから血の気が多くていけないんだ。冷静になるのに、ちょうど良かったくらいさ」
私が涙ぐむと、ステファン様は私の頭を撫でて、おでことおでこをくっつけた。
「あの‥‥‥」
「熱はないみたいだな」
「はい」
いつもと違う、ステファン様の様子に、私は戸惑っていた‥‥‥。これは、夢だろうか? 狼狽えていると、私の頭の上に手を置いて頭を撫でていた。
「もう寝た方が良い‥‥‥」
「はい」
私はステファン様の赤い瞳を見つめられ、無意識の内にステファン様の頬へキスをしていた。
「おやすみなさいませ」
その後、何とかベッドへ辿り着くと、布団をかぶり‥‥‥。眠くないのに、眠気が襲ってきて、いつの間にか朝まで眠ってしまっていたのだった。
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