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再び休暇①
「ヤッホー、リリア元気にしてる?」
翌週になって、再びスザンヌが訪ねてきた。カゴいっぱいのお菓子と、ワインをテーブルの上に置くと、彼女は私が寝ているベッドまで来て言った。
「リリア、休みの日だからって何時までも寝てるの、良くないわよ」
「休みの日くらい、寝かせてよ」
「お父様から聞いたわ・・・ストラウド、出て行ったんだって?次のお見合いの日が明日だって聞いたけど大丈夫なの?」
「お見合いって、誰の・・・まさか?!」
私はスザンヌの言葉に驚いて、掛け布団を押しのけると飛び起きた。
「え?誰って・・・リリアの?」
「何でもう1回、お見合いしなくちゃならないのよ?!聞いてないわよ」
「リリア、あなたスウェン・サクフォンとのお見合、もしかして断ってないんじゃないの?」
「あ・・・」
やってしまった・・・この国では、お見合いをして断りの連絡が無ければ、次のお見合いを双方の都合の良い日に決めることになっていた。ストラウドが話を進めていたから、決めてから城を出て行ったのだろう・・・けれど、そんな話は聞いていなかった。
「何?・・・もしかして、やっぱり断ってなかったの?」
「いや、知らなかったと言うか・・・聞いていなかったと言うか・・・それどころじゃなかったっていうか・・・言い訳なんだけど」
「どうすんのよ・・・相手の用意や予定だってあるんだし、今から断る事は出来ないんじゃ・・・」
「明日、お見合いに行ったら謝ってみるわ・・・許してくれるか、分からないけれど」
「そう言えば、サクフォン伯爵と会ってみてどうだった?小説と同じで、『いいな』とか思わなかったの?」
「思わないわよ・・・何ていうか、ひと言で言うと『変な人』よね」
「ひと言で表さなくていいわよ」
「私が・・・ストラウドを好きなままでいいから、結婚したい・・・そう言ってたわ」
「何それ・・・仮面夫婦ってこと?」
「・・・たぶん」
「だったら結婚してもいいんじゃない?リリアが想いを貫きたいんなら、話を分かってくれて、側にいてくれる人が1番いいと思うんだけど」
「・・・・・・」
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