再び休暇①

1/1
377人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ

再び休暇①

「ヤッホー、リリア元気にしてる?」 翌週になって、再びスザンヌが訪ねてきた。カゴいっぱいのお菓子と、ワインをテーブルの上に置くと、彼女は私が寝ているベッドまで来て言った。 「リリア、休みの日だからって何時(いつ)までも寝てるの、良くないわよ」 「休みの日くらい、寝かせてよ」 「お父様から聞いたわ・・・ストラウド、出て行ったんだって?次のお見合いの日が明日だって聞いたけど大丈夫なの?」 「お見合いって、誰の・・・まさか?!」 私はスザンヌの言葉に驚いて、掛け布団を押しのけると飛び起きた。 「え?誰って・・・リリアの?」 「何でもう1回、お見合いしなくちゃならないのよ?!聞いてないわよ」 「リリア、あなたスウェン・サクフォンとのお見合、もしかして断ってないんじゃないの?」 「あ・・・」 やってしまった・・・この国では、お見合いをして断りの連絡が無ければ、次のお見合いを双方の都合の良い日に決めることになっていた。ストラウドが話を進めていたから、決めてから城を出て行ったのだろう・・・けれど、そんな話は聞いていなかった。 「何?・・・もしかして、やっぱり断ってなかったの?」 「いや、知らなかったと言うか・・・聞いていなかったと言うか・・・それどころじゃなかったっていうか・・・言い訳なんだけど」 「どうすんのよ・・・相手の用意や予定だってあるんだし、今から断る事は出来ないんじゃ・・・」 「明日、お見合いに行ったら謝ってみるわ・・・許してくれるか、分からないけれど」 「そう言えば、サクフォン伯爵と会ってみてどうだった?小説と同じで、『いいな』とか思わなかったの?」 「思わないわよ・・・何ていうか、ひと言で言うと『変な人』よね」 「ひと言で表さなくていいわよ」 「私が・・・ストラウドを好きなままでいいから、結婚したい・・・そう言ってたわ」 「何それ・・・仮面夫婦ってこと?」 「・・・たぶん」 「だったら結婚してもいいんじゃない?リリアが想いを貫きたいんなら、話を分かってくれて、側にいてくれる人が1番いいと思うんだけど」 「・・・・・・」
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!