貴族館へ①

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貴族館へ①

次の日の午後。 私は『貴族館』へ来ていた。昔ここで、貴族同士が集まって社交パーティーを開いていたらしいのだが、王都に住む民達から『税金の無駄遣いだ』と批判されて、すぐに閉鎖された建物だと聞いている。 最近は国の地域活性化のために改善され、国全体の若者向けに『お見合いカウンセリング』を開く予定もあるらしく・・・視察も兼ねたお見合いだったが、この場所で断るのもまた微妙な気分だった。 馬車から降りると、サクフォン伯爵は既に来ており、私をエスコートしてくれた。お見合い会場となる『聖光の間』まで案内してくれると、小さめのテーブルにそれぞれ着席した。 「まさか断らないとは思わなかったので・・・驚きましたよ」 (この雰囲気で、まさか断り忘れていたとは言えないわ・・・) サクフォン伯爵は、話しながら顔を微かに赤らめ、嬉しそうにしていた。 ***** 『聖光の間』へ着いて、テーブルへ案内されると、料理が運ばれてきた。お弁当スタイルの配膳らしく、料理を提供すると侍従やメイドは下がっていった。入り口でレベッカが、何故かこちらを向いてガッツポーズをしていたが、すぐに去って行った。 「ここは、お見合いについて悩んだり困ったりした事があったら、相談できるカウンセリングルームになる予定なんだそうです・・・美味しそうですね。いただきましょう」 「・・・はい」 とりあえず食べる事にした私達は、美味しい料理に舌鼓を打った。 「そう言えば・・・忘れる前に、渡しておきますね」 私は鞄から、小ぶりのワインボトルを取り出すとサクフォン伯爵に手渡した。 「スザンヌ王妃から、いただいたものなんです・・・なんでも、魔王領産の商品を広めたいらしくて・・・サクフォン伯爵にも、お渡し下さいと言っていました」 「へー、スザンヌ様が・・・」 スウェン伯爵は、ボトルを受け取ると微妙な顔をしながらもラベルを眺めていた。 「これは・・・デザートワインですか?」 「ええ」 「もしかして、リリア様はデザートワインだったら、イケる口ですか?」 「えっ・・・ええ、まあ。2杯くらいなら飲めますわ。私、ワインの渋みがどうしても苦手で・・・デザートワインだったら甘いから何とか飲めるんです」 「ああ・・・タンニンですね。女性は、あの渋みが苦手だという方が多いですよね。今度会う時には、デザートワインを用意しておきましょう」
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