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エピローグ
私はこの日、圧倒的な敗北は勝負を意識したときにしか感じ取れないことを初めて知ったのだ。
図書館前に貼り出された「大賞」の横には私の名前でなく、緒方君の名前があった。何度も何度もwebに掲載された受賞作を読んだ。上手かった。感性が死んでいると思っていたのに、そんなことはなかった。
重厚な語彙力に巧みなストーリー展開を選評の先生方が絶賛している。魅力的で、努力家で、でもどこか抜けている可愛いヒロイン像は、まるでその人を見て来たかのようにリアルだった。ヒロインは失敗も多いが、最終的には皆を笑顔にしてしまう。
(この作品が私じゃない誰かのために一生懸命に書かれたものだと、私はわかってしまう)
作品を通じて描かれていたのは、私は一貫した愛だと感じた。作中に恋愛要素はないのに、ヒロインを追う地の文のまなざしには特別なものがある。
私の作品は末端の小さな賞に擦り、同じ冊子に収録されるらしい。
正直、並ぶのが恥ずかしいと思った。これは、アカデミーの飲み会の比ではない。
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