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「たまご」になれない私と君の文学部生活
教養は一日にしてならない。
人間関係も、また。
「先日はすみませんでした」
「いいよ、慣れてる」
私は先日、同じゼミ生だという緒方君に吐瀉物の後片付けをさせ、後払いの予定だった会費を立て替えさせ、その上家まで送らせるという大失態を犯している。
今日は同じ講義を取っていたから、講義の終わりに平謝りをしているところだ。
「あのさ、昨日の会費送るから」
私は会費と駄目にしてしまった衣服代を電子マネーで送った。ピロンという音の後に金額を確認した彼は無表情で少し固まった。
「ちょっと多い」
「服とか迷惑料込みで」
「......。」
(だ、だんまりだ)
聞いたことがある。緒方君は人付き合いが苦手なのだ。無愛想で、すぐに黙ってしまう。
「じゃ......じゃあさ! この後今度のゼミのレポートの課題本、一緒に選んでくれないかな?」
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