魔女の呪いと女神の血

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「例のナイフは神殿からあの侍女によって盗み出されていたことがわかった。ピュリラ様の世界の神職に同席してもらい私の目の前で我が国の神官がナイフを破壊し浄化したし、呪いの玉も同様に浄化する手はずになっている。そしてこの事件を起こした侍女だがあれは既に処刑されているーーーだからといってご両親の不安がなくなるわけではないことはわかっている。 でも、私は楓を離せないーーー」 クリフ様は頭を垂れた。 「今後は必ず私が楓を守ると約束する。 ーーー秋月さん、どうか私に楓と最後の時まで共に過ごす許可を頂きたい」 クリフ様は両親に向かって腰を深く折り大きく頭を下げた。 父の口はへの字のままで、それを見た母がそっと父の背中をさする。 「お父さん、竜王陛下にここまでさせるなんていくら何でもやりすぎよ。ーーーそれにもう楓は心を決めてるみたい。何と言っても命がけで彼を助けたんだもの。ここで反対したら逆に私たちが楓にもう会えないなんてことになってしまうわよ」 うううっと低い唸り声が父の口から洩れ 「ほら、観念しなさいって」母がくすりと笑った。 「お父さん、ごめんなさい。私、ここでクリフォード様の支えになってあげたいの。クリフォード様と一緒にいると私も幸せなの。胸がポカポカ温かくなって笑顔になれるの。お願い、ここに居させて下さい」 父の前で頭を下げると、大きなため息と共に私の頭にぽんと大きな手が下りてきた。 「娘には平凡な生活をさせてやるために”救国の旅人”の責務が終わっても帰国しないでこの世界にとどまったはずだったのに。その娘は竜の国で竜王の花嫁になりたいと言い出すとは・・・。人生、どこでどう転ぶのかわからないものだな。 ーーー幸せになりなさい、私の娘。 竜王陛下、どうか私の娘を幸せにしてやって下さい」 父が深く頭を下げ、母もそれに倣い頭を下げた。 それにクリフ様が感謝を伝えると、私の目は溢れてきた涙で曇ってしまいクリフ様が優しく拭いてくれたのだった。
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