魔女の呪いと女神の血

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魔女の呪いと女神の血

**** 私が知っていたのは”竜殺しのナイフ”が竜王を殺すために作られたものだということ。 竜殺しのナイフを作った魔女は愛する竜王を自らの血で作った毒で殺し、竜王の愛する女神を呪い殺したのだという。 大昔、運命的な出会いをして愛を育み結婚した竜王と女神はこの宮殿で幸せに暮らしていた。 しかし、竜王のことを愛していたのは女神だけではなかった。 幼馴染みの魔女だ。 竜王は魔女が自分を愛していたとは知らず、幼なじみの気軽さで魔女が宮殿に訪れることを許可してしまった。 まさか自分が殺されるとは思わず。 それは数々の困難の末に愛する人を手に入れ、幸せに浸っていた竜王の心の緩みだったのかもしれない。 魔女は油断していた竜王に不意打ちをくらわせた。”竜殺しのナイフ”で切り付け、慌てて駆け寄った女神をも恨みの籠もるそのナイフで刺したのだった。 「あの毒は竜にしか効かない。そして女神は防御力が強いから魔女が女神を即死させる傷を負わせることはできないと知っていた。 だから魔女は女神を自分の呪いがかかるように竜王を刺したものと同じナイフで女神を刺したんだ。魔女の女神を妬み憎む気持ちがあまりに大きく強かったから呪いも強大なものだった」 クリフ様が憎々し気に言い放つ。 「まだあと数百年生きられたはずの竜王は魔女の毒で死んでしまい、女神はその場で死ぬことはなかったが魔女の呪いによってどんどん衰弱していった。 魔女の狙いはそのまま女神を衰弱死させることだっただろうが、女神はその後もしばらく生きて大きな仕事をした。 女神は竜王の子どもを宿していたんだ。 普通の竜族は卵で生まれてくるのだが、女神は竜王の子どもを卵ではなく赤ん坊で生み、乳を与えた後しばらくして亡くなった。ーーー私はその時生まれた赤ん坊の子孫だ」 竜王は死に、女神は呪われた身体で竜王の子どもを産んで亡くなった。なんとも切ない話だ。 クリフ様の話を頷いて聞いていたのだけれど、ふと疑問が残る。 「その後魔女はどうなったの?」 「魔女は呪いを解くように竜たちによって責め立てられたが拒否して牢の中で自害したよ」 「そうなんだ・・・・・・」 「楓はなぜ今回自分が呪われたかわかってる?」 「え?私が呪われたのはその竜王のクリフ様と、えーっと、その、すっ、好き合ってるからーーーでしょ?」 両親の前で何という羞恥プレイだ。愛し合ってるとはさすがに言えない。 本当に勘弁して欲しい。 あ、ほら、お父さんがクリフ様を睨んでるし。お母さんはニヤニヤしてる。 そんな両親の視線を一切無視できるとはクリフ様はさすが竜王様なんだけど。 私の赤くなった顔を満足げに見つめてから、クリフ様は爆弾発言をした。 「ただの番や恋人だったなら刺されてもおそらくこんな問題にはならなかったはずだ。楓が呪われてしまったのは・・・・楓には女神の血が入っているからだ。そうですよね?ご両親」 ええええー ーーーそんなの聞いてない。わたし、ただの人間だよね?ごく普通の。 異世界人だけど、普通の。 私は即座に両親の顔を見た。 二人は私の視線を受けてゆっくりと頷いた。 「”救国の旅人”は女神の国に住む女神の血筋の一族から選ばれるのよ」 母の言葉に頭が真っ白になった。 女神の血筋の一族?
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