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巨木にしがみついたまま、ゆっくりと目を開き、光に目が慣れると、自分達が黄色い液体の渦の中にいる事が分かった。 なんとか生きているようだけど、ここは一体… 周りには一緒に巨木にしがみついて泣き叫んでいる仲間が数人、そして黄色い液体に流されて助けを求めている仲間も数人… さらに、上空から現れた巨大な棒が2本、僕らの周りを高速で回って、液体の渦をより大きく激しくしていき、流された仲間は為す術なく渦にのまれていった。 怖い… そんな仲間たちを目にして、僕は今まで感じたことのない恐怖を感じていた。 死ぬかもしれないという恐怖。 巨木にしがみつく手が無意識に震え始めた。そんな震える僕の手に、やはり震えの止まらない仲間の手が重なり、きつく握りしめられた。 恐怖、諦め、わずかな希望…色々な気持ちが綯い交ぜになって、涙が零れ落ちて、僕の意識はそこで途切れた…
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