ヘンゼルとグレーテルが家に帰ることができた理由

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「よし、いいこと考えたぞ!」  ヘンゼルは、とっても頭の良い少年でした。 「グレーテルが作ったパンを使えばいいんだ!ていうかついでに、家にあるパン全部、グレーテルお手製のパンとすり替えておこう」  ヘンゼルは知っていました。妹のグレーテルの料理の腕が壊滅していることを。  食べた瞬間、食べた人間が泡を吹いて倒れるほどクソまずいパンやスープを作る天才だということを。  ヘンゼルはお父さんに連れていかれる途中で、グレーテル製のパンをちぎっては落とし、ちぎっては落としをして道しるべとしました。  当然、動物たちが近寄ってきますが――彼らはパンを食べたはしから、あまりのまずさにその場で気絶してしまいます。  帰りは、そんなぶっ倒れた動物たちの屍を辿っていけば、家に帰ることができるという寸法です。  そして帰った家もまた、うっかりグレーテル製のパンを食べたお父さんとお母さんが撃沈しています。  ヘンゼルは二人に言います。 「今度僕達を捨てたら、今後の料理は全部グレーテルに作ってもらうからね!」  二人は震えあがって、仕方なく子供達を捨てることを諦めましたとさ。  なお。 「……あ、あたしの料理、そんなにまずかったんだ……」  自覚がなかったグレーテルが、ショックでゾンビになっていたのはここだけの話です。
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