妖カウンセラー

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「もうアラサーでしょ?」  ちょっとむかついたので言葉のナイフを投げる。 「それ、星奈にも刺さる言葉やろ?」 「言ってから思ったわ」 同学年なのだから年齢の話は自分にも効くことは自明なのに。 「仕事は見つかったん?」  パンツスーツ姿の私を見て尋ねる。 「いや。なかなか正社員が見つからないよ」 「選り好みしとるんちゃうん?」 「してないよ。手取り20万、週休2日、転勤無し、ボーナスは月給2ヶ月分以上……」  それからもつらつらと条件を言う私に止めが入る。 「それ、条件良いほうやないの? でも中途だとそうでもないんか!」 「前職、新卒入社でそのくらいだったし。求人自体はあるんだけどねぇ。面接でばっさばっさと落とされる」 「なぜ前職辞めたん」  景子にあきれた顔をされた。前職は塾講師で、税金引いた手取りが20万ちょい。ボーナスは教室の成績次第だが大体3ヶ月分くらいのボーナスをもらっていた。 「宝くじ当たって調子乗ったよね」 「定期的な収入は大事やで?」  職場のパワハラとモンスターペアレントに疲れていたから、これはチャンスと思ったのだ。 「そして、結婚詐欺師に引っかかったんだっけ」 「余計なことまで思い出さないで」  旅先で出会った人に恋して半年くらい付き合ったが、結婚を考えだしたころトンずらされたのである。しかも貯金は500万以上使い込まれていた。 「そいつも捕まったようでよかったわ」 「お金は返ってこないの?」 「証拠集めとかで時間はかかりそうね。多分いくらか取り返せるとは思うけど。まあ、どの道しっかりした収入源は欲しいし」  楽をしすぎてはだめだと身に染みている。改めて空を眺めると、先ほどより星の輝きが増し、うっすらと白い帯がみえる。おそらく雲であろうか。天の川ではない気がする。
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