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そのまま事務所で昼食を取り、雑誌を持って撮影した写真と共に、専属デビューの日を迎えたことをSNSで報告。
その後は一旦前田と編集部に向かい、挨拶と今後のスケジュールを確認してから再び事務所へ。
naturallyからの要請通り、18時に再びSNSを更新。
それらを済ませた夏樹は、事務所を飛び出るように帰宅した。
一刻も早く柊吾に会いたかった。
マンションに戻ると、晴人が出掛けようとするところだった。
専属おめでとう! とハグをされ、夏樹も抱きしめ返す。
夏樹と柊吾が晴れて恋人になった後、晴人がマンションを出ようとしたことはまだ記憶に新しい。
絶対いやだ! と夏樹は涙目で縋り、お前が気遣いとか気持ち悪いからやめろ、と柊吾は眉を寄せた。
前から決めてたのに、なんて言いつつ、変わらずにいてくれる晴人が夏樹は大好きだ。
晴人を見送り、リビングへと進む。
そこにはもちろん、柊吾の姿があった。
今日はホームページの更新作業のために、早く帰宅すると聞いてあった。
だが、予想とは随分違う顔をしている。
祝福してもらえると自惚れていたのだが、何故かぎゅっと眉間を寄せているのだ。
「あれ? 柊吾さん? どうしたんすか……? わっ」
問いかけに答えはなく、突然抱きしめられてしまった。
柊吾との触れ合いに慣れるということは一向になく、心拍が一気に上がり愛しさに胸は苦しくなる。
「柊吾さん?」
「……夏樹に触られんの、ムカつく」
「へ……? あ」
どうやら先ほどの晴人とのハグを見られていたのだと気づく。
嫉妬をさせてしまったのだろう。
いつか晴人が
『“幼なじみに初めての恋人が出来たと思ったら、溺愛系過保護カレシになっていた件”って本書けそう! いや過保護は前からか!』
なんて笑っていたのを思い出す。
柊吾は怒っていたが、夏樹はあながち間違っていないと思っている。
こんなに愛されて、大切にされている。
そう実感出来る恋を柊吾としているから。
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