ロードスターは恋をする

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「夏樹、入った」 「うん、うん……」 「っ、泣いてんのか? もしかして痛かっ……」 「ちが、違う」 「……ん?」 「すごい、嬉しい……オレん中に、柊吾さんがいるの、やばい」 「っ、夏樹……」  柊吾を好きになるまで、漠然とながらセックスは恋人同士が快楽を求めてするものだと思っていた。  もちろんそれもきっと間違ってはいない、けれどそれ以上に、どうしようもなく心が満たされている。  今この瞬間、柊吾と求め合っている。  涙が出るほど幸せだと共に感じられる、それが快感を煽っていく。 「柊吾さ、キスしたい」 「夏樹っ」 「んんっ、あ、きもちいい、しゅうごさ」 「は、あー、やばい」  どのサイトで調べても、必ずと言っていいほど最初から気持ちいいわけではないと書いてあった。  あったのになあ、ととろけた頭で夏樹は思う。  努めて優しく抱いてくれている柊吾のひと突きひと突きが、信じられないほど気持ちがいい。 「しゅうごさん、オレ、こんなきもちいいって、思わんかった……オレ、はじめてなのに、あっ、すごい」 「っ、夏樹……俺もこんな気持ちいいの、知らない。好きな人とするセックス、初めてだから」 「っ、オレが、はじめて?」 「そう。はは、すげー幸せ」 「っ、ううー」  柊吾と触れ合っている体はもちろん、柊吾が気持ちよさそうな顔をして、汗を振り乱して、自分の名を呼んでくれることも気持ちがいい。  自分という存在全てで余すことなく柊吾を感じている感覚だ。  顎を少し上げるだけでキスをくれる、腕を伸ばすだけで抱きつきたいと分かってくれる。  またすぐそこにやって来た絶頂の気配、濡れっぱなしの自身に手を伸ばすと、だがその手は柊吾に絡めとられてしまった。  シーツに縫いつけられ、先ほどもらった指輪にキスをされる。 「やっ、しゅうごさ、イきそうだから」 「うん、俺も」 「ああ、やあ、も、イ……っ!」 「く……っ!」  果てる瞬間、自分の体がもっともっとと柊吾を欲しがっているのが分かった。  離れたくない、と絡みつく中に、柊吾も掻き分けるように押しつけてきて果てる。  ふたりの荒い呼吸だけが聞こえる部屋で、夏樹の頬にまた涙が光った。
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