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目が覚めると、カーテンの向こうは既に明るくなり始めていた。
冬の朝なのにあたたかいのは、柊吾と共に眠ったからだ。
仰向けの体には柊吾が抱きついていて、夏樹の肩口にすり寄るようにして今もよく眠っている。
「うわー、幸せすぎる……」
昨夜、柊吾と気持ちが重なって恋人になった。
体を重ねた後は共に風呂に入り、またたっぷりと触れ合って。
自室に戻るべきかと迷った夏樹を、柊吾が有無を言わさずこの部屋に引きこんだ。
甘えんぼですね、とつい言ったら、『俺も思った、びっくりだよな。引いた?』と心配そうに問われてしまった。
そんなはずがない、いつも優しくしてくれる人を自分も甘やかせると思うと、こんなに嬉しいことはない。
素直にそう伝えると、俺は宇宙一幸せ者だなと笑ってくれた。
「オレも宇宙一幸せっすよ」
眠っている柊吾の髪をそっと梳くと、指の間を金色が流れる。
夏樹にとっての流れ星で、北極星。
ずっといつまでもまばゆいのだろうと感じながら、そっと腕の中を抜け出す。
こんな風に迎えた朝、柊吾のためにコーヒーを淹れられるようになりたい。
でも今はそれは叶わないから、ティーパックの紅茶でも作ってみようか。
柊吾が起きたらコーヒーのことを話してみよう。
そうと決まればとベッドを下り、扉へ向かいかけたところで夏樹はふと足を止める。
初めてこの部屋に入った時も見た、壁にたくさん貼られたデザイン画が目に入ったからだ。
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