エピローグ

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「柊吾と言えば、まさかまたカメラの前に立つとは思わなかったよ。何度誘っても二度とやらないって言ってたのにね」 「オレも実はもうやらないんですかって聞いたことあるんすけど、同じこと言われました。でもカタログは相手役のモデルが見つからなかったんすよね。嫌なのに体張ってすげーって思いました」 「……アイツがそう言ったのかい?」 「…………? はい。撮影の時にそう聞きました」 「へえ……南くん。こっち」  早川に手招かれ、夏樹は素直に顔を寄せる。  すると驚きの事実が耳打ちされ、夏樹はつい大声をあげてしまった。  スタッフの人たちが何事かとこちらを見て、慌てて口を手で押さえる。 「え、マジっすか?」 「マジだよ。はは、何隠してんだか」 「オレ聞いてよかったんすかね」 「いいんだよ。モデル事務所社長の誘いを断り続けたんだから、このくらいのことは大目に見てもらわないと」  どこか少年のように笑う早川に夏樹も笑い返し、だがその実、心の中は大騒ぎの状態だ。  今すぐ柊吾に会いたい、早くあのマンションへ帰りたい。  だが今日はまだやることがあると、ぐっと堪える。
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