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「柊吾さん、キス、したい」
「……ん」
少し背伸びをして、柊吾のくちびるにくちづける。
するとすぐ柊吾のほうからもキスが返ってきて、やめられないままに抱きあげられる。
向かう先はソファで、腰を下ろした柊吾は膝に乗せた夏樹へキスをし続ける。
「柊吾さん……んっ」
「夏樹、可愛い」
「は、あっ……」
首筋や頬、耳など至るところにキスをされるのがすごく好きだ。
その上可愛いだなどと囁いて、愛を滾々と注がれたらもう堪らない。
もっと柊吾が欲しくなる。
夏樹のほうからも耳に口づけ、そこでふと気づく。
柊吾の耳を飾っているピアスはあの日、カタログ撮影の日につけていたものだ。
「そうだ柊吾さん、社長に聞いたんすけど」
「んー?」
「あっ、柊吾さ、そこ摘まんだらだめ」
「でも好きだろ。もうぷっくりしてる」
「んっ……好き、でも待って」
「ん。どした?」
シャツの中を這い上がってきた指の動きが止まる。
でも優しく聞き返してくれたのとは裏腹に、拗ねているのかもしれない。
触れられるのを待っているそこに指は添えられたままで、それに息を上げながら夏樹はどうにか言葉を紡ぐ。
「カタログの、相手役、早川所属のモデルさん、社長が色々紹介したって」
「…………」
「柊吾さんあの時、見つからなかったって。だから自分がすることにしたって言ってたのに……」
「あー、あの社長……ったく。うん、色んな男勧められた。でも……どうしても俺がやりたかったから」
「そうなんだ。やっぱりモデルやってみたくなったってこと?」
「いや、違う」
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