まだ恋を知らない

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「あっ、あーこれやばい……えっち、すぎる、ってぇ」 「気持ちいい?」 「きもちいい、こんなの、またすぐ出ちゃう」 「いいよ」 「あっ、椎名さん! んっ、ああっ、は、あ……――っ!」 「ん、夏樹……もうちょっとさせてな」 「は、あっ、椎名さん、椎名さんも、気持ちよくなって」 「すげー気持ちいいよ、夏樹……あー、もう出る」 「うん、うん、いいよ、しいなさん」 「は、あ……っ」  下着一枚でふたり分を受け止められるはずもなく、夏樹の太腿を白いものが伝ってゆく。  拭かなければと思うのに、2回も果てた夏樹は息をするので精いっぱいだ。  まぶたも重たくなってきて、だけど伝えたいことがあると、必死に意識を繋ぎ止める。 「椎名さん……」 「んー?」 「今日、会えて、うれしかった」 「……うん、俺もだよ」 「今度、は、絶対最後までする。準備? の仕方、教えてくだ……」  そこまで言ったところで柊吾に凭れかかる。  眠りに吸いこまれてしまったから、額に降ってきたキスを一生知ることは出来ない。 「今度、って……ふ、ばあか」    心が竦んだ日の夜。  柊吾に満たされ夢を見る。  それは青ざめた友人たちのものじゃない、柊吾の夢だった。  幸せなまま眠りについて幸せな夢を見ているから、起きてもきっと幸せだろうと夏樹は夢の中でもそう思った。
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