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でもそれは大きな勘違いだったみたい。
私がこの場に来た時に2人はすでに優雅にお茶をしていて、テーブルには色とりどりの美しいケーキが並んでいた。私の大好きな苺がいっぱい使われていて、なんだか切ない。
仲直りのために作った私のクッキーなんて出せそうにもないわね。まあ今更出す気もないけど。持ってきたバスケットをチラリと見て、意を決してエドワード様に質問をする。
「それはどういうことでしょうか?」
私がそう言うとエドワード様はため息をついた後、私の目をじっと見て話を続けた。
「サラ、僕はソフィア王女に会って気づいたんだ。王女はサラと同じ年なのにマナーも外国語も完璧だ。それなのにサラはどうだ? 妃教育よりも魔術の勉強を優先して、進んでないだろう? しかも魔術が上手にできないと、癇癪を起こすこともよくある。この前だってそうだ。そして僕が呼ぶまでは謝ることすらしないじゃないか」
エドワード様は一気に話し終えると、今度はにっこりと微笑んで隣に座るソフィア様の手を取る。
「ソフィーは子供の頃僕たち兄弟と庭で遊んでいる時でも、花の名前や利用方法を聞いて勉強してたよね」
隣国マリス王国とは友好関係を築いていて、昔から国交が盛んだ。それこそ婚約前エドワード様は、マリス王国の王女と結婚するのではと噂があったくらいだ。でもソフィア様の名前を愛称で呼ぶほど仲が良かったとは知らなかった。
なんだか喉が痛くて声が出せない。どうしたんだろう。
「そうでしたね、私は勉強が好きでしたから。それでも私に魔力があったなら、勉強より魔術のとりこになっていたと思います」
同じ金色の髪に美しい青い瞳をして微笑み合う2人は、まるで一枚の絵画の様だ。豪華で繊細な刺繍が施された上品なドレスに負けない美貌には、嫉妬心すら起きない。
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