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少し前にエドのお父さんからこの部屋の意味を聞いていた私は、思わず口ごもってしまう。もう! エドもなんとなく察してほしい! 私の首筋にキスしてる場合じゃないってば!
「客間にしては多すぎると思うし、店の倉庫は別に借りるし……」
「ほら、その、空き部屋の場所が、ね?」
私は設計図を指差し、空き部屋が私達夫婦の部屋の隣にあるのを教える。
「……ああ! 子供部屋か!」
ようやく気づいたエドはニコニコと「父さんも気が利くな」と笑って、私をぎゅうっと抱きしめた。
「それならもう子ども用の家具とか、買おうか?」
「エド……お父さんたちは孫用の家具を競って買ってるのよ。お母さんたちは洋服や絵本を買ってるわ。」
「知らなかった」
自分で言うのもなんだけど、あなたは私ばかり見てるからね。全然まわりのことを気にしていない。今だって家の中だから良いけど、外でもすきあらばキスしてくる。
「絵本といえば、私達のあれが絵本になるなんてね……」
「教科書にも載ってるぞ」
「エドはまだいいわよ。私なんてあの時もう記憶があったから、授業の時なんだか恥ずかしくて」
そう、私達のあの戦いは絵本どころか、教科書にも載っている。まあ大きな出来事だもんね。それでも当事者の私にとっては、なんだかおとぎ話の主人公になったみたいで実感がわかない。あの絵本は私達2人が過去を乗り越えた証として、大切に持っているけどね。
でもそれならば私達は絵本の主人公のように、「2人はいつまでも幸せに暮らしました」と終わらせなくちゃいけない気がする。
私は後ろを振り向き、エドの瞳を見つめる。何度生まれ変わっても、また一緒にいたい。次はもう記憶がない予感がする。それでも私は誓いたい。
「生まれ変わっても、絶対に幸せにしてあげるからね」
私達は今日何度目かのキスをし、幸せをかみしめた。
本編 END
次から番外編です
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