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風を肌身で感じながら、木立の騒ぐ音や小鳥のさえずりを聴きながら、私はゆっくりと公園を歩いた。
もうすぐ別の入り口に辿り着こうとした時、私は啞然とする。
そこから自動車整備工場が見えたからだ。
時計を見ると、到着予定時間より10分早い。
私はその場で立ち尽くす。
辺りを見回すと、そこは不思議な光景だった。
公園内は歩くことしかできない反面、風に揺れる木の音や小鳥のさえずりなど、自然を満喫することができた。
公園を出ると、そこは車も通れて、利便性に優れている反面、車のエンジン音や排気ガスの臭いなど、環境問題を考えさせられる空間に思えた。
この場所は、同じ道でも、自然と人工の分岐点である。
私はそう思えてならなかった。
これは、いつも車で移動している私にとって、新たな気付きであった。
「車じゃなく、歩くのもいいものだな」
私はそう呟きながら、自動車整備工場に向かって歩き始めた。
【完】
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