グイグイ戦隊グイグイグインジャー

2/3
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 まあ、そんなわけで俺はタイムマシンで俺の子供の頃へタイムスリップした。  あの日のスーパーの屋上だ。  ちょっと早く来すぎたのか、ヒーローショー開始まではまだ時間があった。  客席に人もいなくて、幼い頃の俺も見当たらなかった。  俺は幼い俺が来るのを見張るように客席横に立って、入場口を睨んでいた。  するとそんな俺にヒーローショーの関係者と名乗るものが話しかけてきた。  なんでも、今日ヒーローショーに出演する予定だったグイグイグリーンの中の人が病気で来る事ができないそうで、その代役を俺にやってもらえないだろうかということだった。  最初は断った。しかし、待てよ、と思い直した。  俺は、幼い俺とグイグイグリーンを見張るつもりでいた。  そこで少し不安に思っていたのは、ヒーローショーでごった返す客席を遠くから見ていて、大事なトラウマを受ける瞬間を見逃してしまうかもしれないということだ。  もしここで、俺がグイグイグリーンの代役を引き受ければ、トラウマの原因を見逃す可能性は限りなくゼロになるのではないかと思った。なにせ、トラウマが発生する渦中に身を投じるということだからだ。  俺は引き受けた。  そして忌々しきグイグイグリーンの衣装に身を包み、仮面を被って、その時を待った。  やがて、ショーが始まった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!