本編

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資料を作成していたカイナは素早く現状をまとめ上げて、ティアラに手を出していた令嬢や令息達の家へと、ブラッドが用意した王家の使者とスター公爵と共に各家々にスキップしながら向かった。 自分が何をされても怒ることのないティアラだが、マジェストやリンナやカイナ、ミストやセスに何かあると全力で応戦し怒りを見せる。 今回も"リンナの宝物のぬいぐるみ"というのが大きなポイントになったのだろう。 シシナードもそうなのだが、フルムーン家の当主達はいい意味でも悪い意味でも何にも執着しない。 地位にも、名誉にも、お金も必要としないが、仲間の危機には駆けつけるし愛情深く義理堅い一面もある。 こうして影の王族であるフルムーン家を、スター家がコントロールしながら上手く使っていくのである。 そんな舵取りも上手く出来ないでいる自分を、ティアラは幼い頃からずっと気に入っている。 「はぁ……」 ゴロリと寝返りを打ったティアラにシーツを掛け直す。 寝顔を見ていると此方まで眠くなってくる。 欠伸をしてティアラの横に寝転がった。
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