本編

34/69
前へ
/75ページ
次へ
起きると体が大分楽になっていた。 窓の外にはオレンジ色の夕日が見える。 太陽が沈む瞬間……眩しいのに変わりはないが空には月がくっきりと浮き上がる。 (もうすぐ夜が来る……) 気分は自然と気持ちは上向きだ。 体を伸ばしながら、隣で爆睡しているマジェストの鼻や頬をツンツンして遊んでいた。 「あー……やべ。寝ちまった」 「気持ちよかった?」 「お前の寝顔を見てると眠くなるんだよな。体の調子は?」 「ん……スッキリ」 「なら、良かった」 マジェストが立ち上がり乱れた髪を直していると、ガラガラとドアが開く音がして、扉に視線を流す。 「リン姉……!」 「ティーちゃん、おはよう!」 「大丈夫だった?」 「大丈夫に決まっているじゃない」 「でも……ぬいぐるみが」 「もうっ!ティーちゃんは優しいんだから!あのクマはわたくしの宝物じゃないから安心してね」 「え……?」 「ウフフ、ゴミを掃除とティーちゃんのスイッチを押す為に必要だったの。お陰でとっても綺麗になったわ!!ティーちゃんは何も心配する必要ないわ」 「そっか……リン姉の宝物じゃなくて良かった」 「ありがとうね、ティーちゃん」 その言葉を聞いてホッとして微笑んだ。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

351人が本棚に入れています
本棚に追加