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一方、ブラッドはオレンジがかった赤色を目一杯見開いて此方を見ている。
二人の視線が初めて絡んだ瞬間だった。
「あの……」
「……」
「おんぶ、しないのですか?」
「……」
「???」
ずっと黙っているブラッドは顔を真っ赤にさせた後に、手で顔を覆って小さく首を振っている。
ブラッドが何をしたいのか分からずに眉を顰めた。
「すっ、すまない……!」
「?」
「っ、御令嬢にこんなことを、頼むなんて」
「……おんぶ、しないのですか?」
「あぁ、しない!!しなくていいッ!!違う、でも……っ」
「???」
「か、肩を……貸してくれないだろうか?」
先程、教室に来た時にはサンサンと輝く太陽のように周囲を惹きつけていたブラッドだったが、どうやら太陽が沈み始めた事で自分のように力が抜けたり、体が怠くなっているようだ。
何となくミストに与えられた仕事を把握した為、ブラッドのカバンを持つと、ふらついて倒れそうになる体を介抱する。
静かな廊下を歩きながら、ブラッドは口を開いた。
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