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「いつもありがとう、王家を護衛してくれて……と言ってもフルムーン家も王家だね。役割が違うから、つい……すまない」
「そう、ですね……」
「最近は、大変だっただろう?」
「仕事ですから」
「うん……でも俺は、君に」
「……?」
「何でもないよ……君にはカッコ悪いところを見られてしまったね」
「…………体質、ですから」
昼間のぐでんぐでんになっている自分と一緒で、ブラッドも太陽が沈めば脱力してしまうのは仕方ないことなのだ。
ずっと小さい頃から窓越しであれど顔を合わせていた。
すれ違いの生活をしている二人が、こんなに会話をしたのが意外にも初めてのことだった。
学園に通う前は、フルムーン家から王城へ通っていた。
ブラッドは昼間は学園やパーティーなど、王太子としての仕事をこなして、夜は城に篭り朝が来るのを待つ。
そんな二人の間に共通点など無いのだ。
王家の馬車へと乗り込んだ。
横に腰掛けて項垂れるブラッドを支えるように座っていた。
「あまり俺を見ないでくれないか……?」
「何故でしょう」
「恥ずかしいんだ……その君が美しいから」
「私が、ですか?」
「あぁ、その……ずっと、君の事が好きだったから」
「!!」
ブラッドの顔が夕日に照らされているからか真っ赤になっているような気がする。
触れている部分が熱っぽく、体温が異様に高い理由は好意があったからだったようだ。
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