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(こういう時はどうすればいいのだろう……)
考えていると沈黙に耐えかねたブラッドが慌てた様子で口を開く。
「き、君がシシナード様と一緒に城に護衛に来た時から、ずっと気になっていて、その!っ、今日は君と沢山話せたから興奮してしまって……つい」
「……はい」
「護衛してくれている君に会えないし、君が苦しんでいる昼間に会いにいく訳にもいかないだろう?唯一、気持ちが分かる同士だから……」
「……」
「夜はこうなってしまうから今まで言えなくて……!困らせてしまったのなら、すまない」
馬車の窓から夕日が差し込む。
触れている部分が妙に熱く感じた。
ゆっくりとブラッドの言葉を噛み砕いて頭で整理していた。
「どうして……私なんですか」
王太子であるブラッドならば、よりどりみどりだろうに。
「毎晩、月明かりに照らされた君が美しくて……」
「…………」
「も、勿論それだけじゃないんだ!理由は沢山あるけど、今直接言うのは恥ずかしいから勘弁してくれ」
必死に訴えかけるブラッド。
まさか自分がそんな目で見られているとは思いもしなかった。
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