本編

40/69
前へ
/75ページ
次へ
(こういう時はどうすればいいのだろう……) 考えていると沈黙に耐えかねたブラッドが慌てた様子で口を開く。 「き、君がシシナード様と一緒に城に護衛に来た時から、ずっと気になっていて、その!っ、今日は君と沢山話せたから興奮してしまって……つい」 「……はい」 「護衛してくれている君に会えないし、君が苦しんでいる昼間に会いにいく訳にもいかないだろう?唯一、気持ちが分かる同士だから……」 「……」 「夜はこうなってしまうから今まで言えなくて……!困らせてしまったのなら、すまない」 馬車の窓から夕日が差し込む。 触れている部分が妙に熱く感じた。 ゆっくりとブラッドの言葉を噛み砕いて頭で整理していた。 「どうして……私なんですか」 王太子であるブラッドならば、よりどりみどりだろうに。 「毎晩、月明かりに照らされた君が美しくて……」 「…………」 「も、勿論それだけじゃないんだ!理由は沢山あるけど、今直接言うのは恥ずかしいから勘弁してくれ」 必死に訴えかけるブラッド。 まさか自分がそんな目で見られているとは思いもしなかった。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

351人が本棚に入れています
本棚に追加