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届けられていた仕事着に着替えた。
やはりまだ時間が早い為、どうしようかと悩んでいると先程の女性が食事を用意してくれた。
座り込んでサンドイッチを食べながらブラッドとのやり取りを思い出していた。
太陽に似ていて苦手だと思っていたブラッドは、とても柔らかくて優しい人だった。
それに兄弟以外の異性から「好き」だと言われてしまった。
そして護衛対象であるブラッドと友達になったのだ。
(心がふわふわする)
初めての感覚に目を閉じた。
それから毎日、ブラッドと共に一緒に王城へと向かうこととなった。
夕方は二人が顔を合わせて話せる唯一の時間だった。
初めは何を話せばいいか分からなかったが、ブラッドが会話を上手くリードしてくれたお陰か、少しずつ互いのことを知っていった。
「ティアラ、好きな食べ物はある?」
「たまご、好きです」
「卵か……!確かに美味しいな」
「殿下は、何が好きなのですか?」
「んー……あまり考えたことはなかったな」
「……」
「なんだろう。今から考えるから少し時間を貰えるか?」
「ふふっ」
「!!」
「殿下は面白いです」
笑ったのを見たブラッドの顔が真っ赤に染まったのを見て頰に手を伸ばした。
「ーーっ!」
「殿下、トマトみたい」
「あぁ、そのっ、ト、トマト……!トマトが好きだ!」
「……?そうなんですね」
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