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「それで殿下は死にそうな顔をしてるのね」
「…………。うん」
「ブラッド、元気だしなよ」
ティアラがマジェストに甘えて「マジェストなしで生きていけない」と言った事がショックだった。
順調に関係を築いてきたつもりだったが、盛り上がっていた気持ちは一気に急降下である。
昼間にティアラが動けるようになると、今まで自分だけしか知らなかった彼女の美しさがどんどんと広まっていく。
普通に過ごせる事が嬉しい反面、ライバルが増えることが嫌でたまらないのだ。
学園でも忙しい合間を縫って会いに行くことで周囲を牽制していたブラッドだったが、まさか身近に一番のライバルが居たとは……。
ブラッドも、フルムーン家とスター家の関係はよく理解している。
しかしマジェストとティアラは、いつも見ているミストとリンナとは違い、また特別な関係に思えたのだ。
「……マジェスト・スター」
ブラッドがマジェストの名を恨めしそうに呟いた。
「何だかんだティアラに気に入られてるのよねぇ、マジェは」
「そうだね」
「わたくしの方がよっぽど役に立つのに……カイナだって悔しがっていたわ」
「仕方ないさ。ティアラにしか分からない事があるんだろう」
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