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他の人達は楽しそうに夜の時間を楽しんでいるのに、それを見ることすら叶わない。
しかし城の屋根に自分と同じくらいの一人の少女が月を見ながら嬉しそうに座っていた。
毒のような月の光は優しく少女を照らしていた。
白髪を風に靡かせた恐ろしいほど美しい少女。
ブラッドは重たい体を引き摺って窓へと向かい、思わず身を乗り出した。
そんな時、一瞬だけ目があったような気がした。
しかし少女は何事もなかったように此方から視線を逸らすと、屋根から降りてしまった。
あまりにも華麗な身のこなしに目を奪われた。
その瞬間……恋に落ちた。
「ああ、その話なら知ってるよ!シシ爺と一緒に初めて城に連れられたティアラが暗殺者を見つけてボコボコにしたんだよね?」
「そうなんだ……!圧倒的な強さでティアラは俺を守ってくれた」
「ティアラが暗殺者を引き摺りながら、窓から顔出してる馬鹿がいるから早く引っ込めたほうがいいってシシ爺に愚痴ってたんでしょう?」
「……それは本当か?」
「そりゃあ護衛対象者が自分から命を投げ捨てに行ったら怒るでしょう?」
「……。それもこれもティアラが美しすぎるせいかもれない」
「そうだよね、ティアラのせいかもしれない!!」
「馬鹿共、さっさとその口を閉じなさい」
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