本編

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護衛の為に城に向かうと一番見晴らしのいい屋根の上。 お気に入りの場所には、必ず一輪の花が置いてある。 初めは誰かの落とし物かと思っていたが、どうやら自分の為に置かれているような気がしていた。 昼に出歩くことのなかった自分にとって、花は無縁のものだった。 しかし誰がプレゼントしてくれているのか、ずっと気にはなっていたのだ。 ふと、その事を思い出してブラッドに聞いてみることにした。 「いつも屋根の上にお花が置いてあるんです」 「……え?」 「誰か、お祖父様に頼まれたのだと思うのですが……」 「ぁ……」 「……?ブラッド殿下は何か知っていますか」 城に住んでいるブラッドならば、花を用意している人を知っているのかもしれないと思ったのだ。 問いかけるとブラッドは恥ずかしそうに小さく手を上げた。 「……それは俺が」 「!!」 「君に……その」 ブラッドは恥ずかしいのか気不味いのか、此方から視線を逸らしている。 それには流石に驚いていた。 昔から毎日欠かさず置かれている花は、まさかのブラッドからの贈り物だったようだ。
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