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「毎日、あそこに花を……?」
「どうしても君に何かプレゼントしたかったんだ」
「…………」
「いつも花を観察したり持ち帰ってくれるから、それが嬉しくて、つい毎日……」
「そう、ですか」
いつもいる場所は城が見渡せる屋根の上だ。
その屋根の少し木がささくれている場所に、茎にリボンが巻かれた花が毎晩必ず飾ってあった。
恐らく小窓から手を伸ばして飾っているのだろうが、塔のてっぺんまで登るのはとても大変なことだろう。
しかも毎日欠かさずに……。
「ごめん……こんなストーカーみたいなことを」
「……いえ」
「最近は君と一緒に帰るから、前もって飾っとくように頼んでいたんだ」
一緒に城に行っても飾ってある花。
まさかわざわざブラッドが用意しているとは思わなかったのだ。
「……」
「……」
ずっとシシナードに頼まれた誰かが、サボらないように花を置いて確認しているのかと思っていた。
「気持ち悪かったかな……?」
「…………」
「ティアラ?」
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