番外編

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幼い頃から窓越しに見ていたティアラが目の前にいる。 これ以上、嬉しい事は他にない。 そして今日のデートで、達成したい目標があった。 (今日こそ絶対に手を繋いで歩くぞ!) あの時、キスはしたもののティアラは寝ていた為、殆ど覚えていなかった。 婚約者になったのだから、もっと触れたいと思っているものの距離はまだ遠い。 今日のデートで手を繋げなければ、またラーナにヘタレ王子と呼ばれてしまう。 リンナには「子供の令息の方が上手く手を繋げるわ」と言われてしまうし、ミストにも「"ティアラに手を出すのは許さん"って言いたいところだけど、手を出さなすぎなんだよ……ブラッド、しっかりしてくれない?」と言われる始末である。 (爪も切ったし、手汗が出ないように訓練もした……!男を見せろ、ブラッド) 今日はお忍びで城下町に来ていた。 ティアラの姿を知るものはあまり居ない為、髪を結いあげて帽子の中に隠せばバレることはない。 ブラッドは髪色と顔でバレてしまう為、ガッツリと変装して顔や髪を隠している。 ティアラの機嫌は良さそうだ。 フルムーン家当主であるティアラが居れば護衛いらずである。 馬車から降りるとエスコートする為に手を伸ばす。 エスコートと分かっていれば平気なのだが、恋人として手を繋ぐとなると別の意味で緊張してしまうのだ。
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