第二章

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「フレディ。リガウン家のご子息、ジルベルト殿について報告して欲しい」  ダニエルからの言葉によって、アルフレドはジルベルトについて調べていた。情報部に所属しているので、この辺の調査はお手のもの。つまり、お茶の子さいさいというものである。 「第一騎士団団長ジルベルト・リガウン。年は三十一。侯爵家の長男でありながらも、未婚。婚約者もいません。王都にある侯爵家の別宅を出て騎士団の官舎で暮らしています」  淡々とアルフレドが報告をする。 「あら、ちょっとその年で未婚で婚約者がいないっていうのはつらいわね。完全に逃したわね。しかも官舎住まいなんて、断然やる気がないわね」  母親が口を挟んだ。やる気がないというのは、結婚をする気がない、という意味だろう。 「元々結婚に興味が無いということも一部では囁かれていましたから」  アルフレドが答える。 「そっちが好きってことは無いのよね?」  またまた母親が尋ねる。 「そっちとは?」  アルフレドが尋ねると、もういいわ、と言うように母親は首を振った。  エレオノーラもどっちなのかがわからない。  アルフレドは左手の人差し指で眼鏡を押し上げる。 「話を続けます。先日。彼の部下である第一騎士団のサニエラ副団長が、エレオノーラについて調べていたようです」 「そうなのか?」  ダニエルの問いにアルフレドは頷く。エレオノーラの情報は機密事項扱いだ。それを第一の副団長が調べたということは、この第零に誰か内通者がいると思われてもおかしくはないだろう。  ダニエルは腕を組んだ。誰がサニエラに情報を流したのか。  ドミニクが口を開く。 「その結婚に興味が無いリガウン団長が、なぜエレンに求婚したいとか言い出したのか、が気になるのですが?」  その視線はしっかりとエレオノーラを見ている。 (そうですよねぇ……。私も知りたいです)  エレオノーラの心の呟きは、目の前の家族には届かない。 「エレン、経緯を説明しなさい」  ダニエルから言われてしまった。むしろこの口調は命令である。 「あのときの説明と同じでいい」  あのときと同じでいいと言われても、エレオノーラは困ってしまう。 (それってもしかして、胸を触られたとか、ちゅーしてしまったとか、それをこの家族の中で説明しなければならいってこと)  それが困っている原因だ。
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