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そんなある日。
政府が「たまご」について大々的に発表した。
「この卵を孵化させたものは懸賞金として1000万円を与える」
この言葉はセンセーショナルなニュースとして全国を駆け巡った。
日本政府が個人に向けて懸賞金を掲げたのである。
そしてそれは、送った「たまご」が孵化する可能性があることを示唆していた。
人々は躍起になった。
懸賞金に目がくらんだ者、なんの「たまご」なのか興味を持った者、単純にはやく「たまご」を手放したい者。
理由は人それぞれだが、多くの人々は「たまご」を孵化させるために知恵を絞った。
ある者は一日中布団の中で温めたり。
またある者は湯船につけてみたり。
そしてまたある者はお腹に括り付けて肌身離さず身に着けてみたり。
しかしどれも成功しなかった。
もともとなんの「たまご」なのかわからないのである。
孵化させるやり方などわかるわけもない。
中にはガチョウの卵を孵化させて、懸賞金をもらおうとした者まで現れたが、すぐに発覚してお縄となった。
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