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3話
「――お前、何でスーツなんだ」
「だって今日仕事なんじゃ……」
私服の課長を見てポカンとしていると、あからさまに溜息を吐かれた。
「仕事なわけないだろう。プライベートだ」
「え!?」
「何でそんなに驚く? むしろどうして仕事だと思ったんだ」
「だって……」
あんな淡々と言われたら、誰だって仕事だと思うでしょう!?
ていうか、プライベートって、何で?抱く気にもならなかった女をどうして誘うの?
あれか。あの夜のことは無かったことにしようって念を押すためとか?でもそんなことで予定を空けておけなんて言うかな……しかも休日に態々。
会社ではし辛いかもしれないけど、電話で事足りる話じゃない?
「何をさっきから百面相してるんだ。乗らないのか?」
「え? あ、えっと……一旦スーツ着替えてきたほうが――」
「いや、そのままでいい」
「え? でも」
「ほら、乗れ」
「はい……」
助手席のドアを開けて待たれては乗るしかない。
本当に、課長が何を考えているのか分からない。今日のこれは、一体何なんだろう。
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