5話

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5話

「課長……?」 私を押し倒して見つめたまま、一向に動かない課長に困惑しながら声をかけると、ハッとしたように私を抱きしめてくる。 「どうしたんですか?」 「いや、なんていうか……本当にお前と出来るんだなって思ってな。少し前まで、もしかしたらこのまま結婚なんてこともあるんじゃないかって覚悟してたから」 「課長……」 「――なあ、名前で呼んでくれないか。もうただの上司と部下じゃないって、俺が感じられるように」 切なそうに頬を撫でながら請われて、私の胸がキュッと苦しくなった。 「――冬馬さん」 「ん……ありがとう。これからは部下としてじゃなく、恋人としてずっと俺の隣にいてくれ」 「……はい」 返事をするとすぐ、彼の唇が触れてくる。最初は顔中に、最後は私の唇に。 何度か触れて離れてを繰り返した後で、舌が侵入してきた。 「ん……冬馬さ……っ」 「香里……もっと……」 さっきと違って、今度は彼の方からもっともっとと強請られる。 舌を絡めて吸いつかれて……その内呼吸ごと奪うようなキスに変化して、どんどん自分の熱が高まっていく。 「はあっ……服脱がすぞ」 「んっ……冬馬さんも……」 お互いに服を脱がし合って、素肌が見えていく。 羞恥心なんて感じる暇もなく裸になって抱き合うと、触れ合う肌の温度が心地良くてホッとする。 「熱いな」 「でも、気持ちいいです。もっとくっつきたい……」 「可愛いこと言うと、俺の理性がどっかに飛んでくぞ」 ちゅっと触れるだけのキスをされた後、その唇がどんどん移動していった。 胸の先に湿った感触が訪れて、思わず体がビクッと跳ねる。 「ここ気持ち良いのか?」 「や……違っ……」 「違うのか? こんなに反応してるのに?」 「意地悪……っ」 刺激に反応して硬くなっているのは自分でも気付いてるから、余計に恥ずかしいのに。 「さっきみたいに、素直に気持ちいいって言えばいいのにな。まあ、そういう所も堪らないけど」 「んあっ……!」 硬くなった感触を楽しむように指で転がされたかと思ったら、急に思い切り吸いつかれる。 「腰跳ねたな」 楽しそうに見つめられて、顔に熱が集まるのが分かった。心なしか目も潤んでる気がする。 「そういう顔もいいな……すごく唆られる。お前は十分色っぽいし、魅力的だよ。他の男に取られないか心配になるぐらいな」 言い終わるが早いか、再び胸の先に吸いつかれる。そしてすぐに、今度は別の刺激に体が反応した。 「……ここ、もう結構濡れてる」 「言わないでくださいっ……」 足の間に指が這わされて、一番敏感な所を掠める度に腰が跳ねるのを止められない。 「あ……駄目……っ」 「駄目じゃないだろ。いいから、素直に俺の指で感じてろ」 「ああっ……!」 与えられる快感に、お腹の奥にどんどん熱が溜まっていく。 「やっ……もう……っ!」 「いいぞ。このまま俺の指で……っ」 「ひゃあ……っ……ああっ……!」 一際大きく体が跳ねて、一瞬頭の中が真っ白になる。 「んはっ……はあっ……」 息が乱れて体が小さく震えているのは分かるけど、頭がボーッとしてる。心地いい疲労感にそのまま浸ろうとしたのに、彼はそれを許してくれなかった。 「ふあっ……!?」 急に指を挿入されて、その刺激にまた大きく体が跳ねた。 「悪い……お前が可愛すぎて我慢できない。早くここで受け入れる準備してくれるか……?」 「あっ……ん……待って、まだ……!」 さっきの感覚が残ってるのに、また熱が溜まっていく。 指の数が増やされて、耳元に彼の荒くなった呼吸が聞こえてきた。 「はあっ……休ませてやれなくて悪い。でも、俺も限界なんだ」 「んっ……冬馬さん……っ」 「早く一つになって、これが現実だと感じたい。お前を感じたい……っ」 「はっ……もう、いいから……あっ……私も冬馬さんが欲し……っ」 自分からこんな風に求めたことなんて殆どないのに、自然と言葉が出ていた。 すぐに中に感じていた指の感触が無くなり、少しすると熱い物が充てがわれたのに気付く。 「――香里。俺を見て」 「冬馬さん……?」 「愛してる。お前が不安になる暇も無いぐらい、気持ちを伝えるから。俺を信じて、ずっと隣にいろよ」 「――はい……っ」 私が冬馬さんを抱きしめるのと、彼が私の中に入ってくるのはほぼ同時だった。
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