5話

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「あっ……冬馬さ……待って……っ」 「まだ駄目だ。全然足りない。もっとお前を可愛がりたい」 「だってもう3回目……あっ!」 時計の針はもうとっくに日付を変えているというのに、彼が止まる気配が無いことに私は驚きを隠せずにいた。 「言っただろ? 俺の気持ちを嫌って程分からせてやるから覚悟しろって」 「それはそうですけど……や、そこ駄目っ……」 「全然駄目じゃないだろ。そんな可愛い声で啼いて、こっちは俺を離さないって締め付けて煽ってきてるくせに」 「そんなことしてない……っ」 可愛い、愛してる……そう言われながら求められて拒むに拒めなかったら、どんどん彼のペースに持っていかれてしまっている。 「愛してる――この熱を鎮められるのは香里だけなんだ。だから受け止めてくれ」 「その言い方ずるいですっ……んう……っ」 「っはあ……香里……好きだ……! 愛してるっ……く……っ」 愛されてるのは素直に嬉しいし、可愛いと言ってもらえるのも、求められるのも女冥利に尽きるとは思う。 でも、限度もあると思うの。 「悪かった……反省してます」 もう朝方と言っても過言じゃない時間になり、漸く満足した冬馬さんは、ぐったりした私を抱きしめながらしょんぼりした顔を見せた。 「本当に反省してますか?」 「……後悔はしてないけど、反省はしてる」 「私、こんなに何度も抱かれたの初めてですよ……」 本当に、今までの彼が淡白過ぎだったのかな?と疑いたくなった。多分、冬馬さんが普通じゃないんだと思うけど。 「1回や2回で終われるわけないだろ。俺の気持ちはそんなんで終われるようなもんじゃない」 「だとしても、もう少し手加減をしてください」 「……善処する」 冬馬さんの顔には、無理だ、とはっきり書いてある気がする。 「朝になっても動けなければ、俺が車まで運んでやるから心配するな」 「へ? 嫌ですよそんなの。恥ずかし過ぎますっ」 「体調が悪いってことにすれば、別になんとも思われないだろ」 それはそうかもしれないけど、私が居た堪れない。 「その後は、俺の家でマッサージしてやる。月曜日に体が動かなかったら困るしな。あ、風呂も一緒に入るぞ。全部洗ってやる」 嬉々として言う冬馬さんは、本当に楽しそうで嬉しそうで…… 誰のせいだと思っているのかと言いたいけど、愛おしそうに見つめながら言われたら、文句なんて言えない。 だって、私の人生でここまで愛された日は他に無いから。 「――お手柔らかにお願いします。あ、夜は寝かせてくださいね」 「……善処する」 困ったように笑いながら近づいてくる気配に目を閉じると、優しいキスが顔中に落とされて、ぎゅうっと抱きしめられた。 その幸せな温もりに包まれて、私は少しの間休息の眠りについた――。 ===END===
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