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半ば投げやりにも、八つ当たりにも見えるメッセージを送ってしまった。だが、イライラしているせいかすぐに返事が来なくてさらにイライラする。しばらくして、やっと返事が来た。送り主は理央だった。
「それだったら、今からグループ通話して奏正のお母さんがちゃんと話しているところをみんなで聞こうよ」
「それいいね」
理央の提案に納得した彰吾がすぐに返事をした。彰吾がグループ通話を始めて、参加するをタップした。それから五分もしないうちに全員が集まった。みんなメッセージは見ていたようで状況は把握していた。
「じゃあ、今からもう一回聞きに行ってくる」
そう言ってスピーカーにしていた通話を通常に戻した。四人の会話が母さんに聞こえてしまわないように、音量も一番小さくした。そのままリビングに行くと母さんが夜ご飯を作っていた。ちゃんと母さんの声がみんなに聞こえるように、カウンターに画面を伏せた状態でスマホを置いた。
「ねぇ母さん、さっきの話なんだけどさ。本当にその兄ちゃんたちって大人なの」
「そうよ。間違ってなければ一人は今大学生で、もう一人はもう会社で働いているはず」
これで十分だろと思ったが、念のためなんでそんなに歳が離れているのかを聞いた。
「子どもには難しい話よ」
「そんなこと言わないで教えてくれよ」
「そんなことを知ってどうするの」
炒め物をしながら、母さんに睨まれる。一瞬、ビビってしまったけどここで諦めたらツリーハウスに二度と行けなくなる。
「ほら、俺の周りの友達ってみんな兄弟がいても歳近いじゃん。だから、十歳以上離れているのが珍しいからさ」
大きなため息をついた母さんは、フライパンに目を戻した。
「片方は不妊。もう片方は再婚相手の連れ子」
よく意味がわからなかった。
「どういう意味?」
「だから言ったでしょ。子どもには難しい話だって。これ以上はもう話さないよ」
これでみんな納得してくれるだろうかと不安に思いながらも、母さんにわかったとだけ伝えて再び自分の部屋に戻った。すぐにスピーカーにしてみんなの反応を確かめる。
「これで信じてくれるだろ!」
俺がでかい声でそう言うと、瑞希が最初に返事をくれた。
「うん。これならあそこに行っても怖くないよね」
スマホ越しでも楽しそうなのが伝わってくる。
「これだったら遊びに行ってもいいんじゃない?」
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