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本編
俺たちはいつも五人組だった。通っていた保育園が一緒で常に一緒にいた。小学校に上がってからは、教室で話したりはしないものの放課後はいつも決まった場所に集まって遊んでいた。
俺、音居奏正。学級委員長をやってる真面目な性格の白武彰吾。太っていて、臆病でよくいじられている出浦瑞希。女みたいな名前しているけど男だ。絵が描くのが好きで漫画家を目指している米谷理央。断ることができなくてイエスマンになりがちな内宮菜々。
誰がきっかけでこの五人が集まるようになったかなんてもう覚えていない。それでも俺ら五人は中学に行っても、高校に行っても、大人になっても一緒だと思っている。
春休みが終わって一学期一番最初の登校日。集団登校している六年生から聞いた噂にワクワクしながら、誰かに今すぐ話したくてたまらないのを我慢していた。同じクラスの瑞希に話してやっても良かったが、他のクラスメイトには絶対に聴かれたくない話だ。早く、放課後にならないかなと授業中足をぶらぶらさせて待っていた。
そして、やっと訪れた放課後。瑞希にいつもより速く走れと叫んで、教室を出た。いつもの待ち合わせ場所である学校の裏山まで一気に走った。運動靴の踵を踏むとお母さんに怒られるけど、そんなことも頭の中にないぐらいあの噂に夢中になってた。
「奏正なんでそんなに急ぐんだよぉ。こんな早く来たって他のみんなはまだ来ないよ」
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