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夢中になってゲームをしていると玄関の開く音がした。すかさず、ボイスチャットから抜け出して、ゲームの電源を切る。
「またゲームしてたの? 宿題はやった?」
「まだー。父さんに教えてもらう」
買い物も済ませてきたらしい母さんは両手にエコバッグを持っていた。冷蔵庫の中に野菜とか肉を仕舞っていく。すぐにこの話題を出していいかどうか悩んだが、忘れる前に聞いてしまおうと決めた。
「なぁ母さん、聞きたいことがあるんだけどさ」
「なぁに」
こちらに背中を向けたままだけど、話は聞いてくれるようだ。
「一緒に登校している六年生の二人って兄ちゃんいるの」
「あぁ、あそこの二人ね。確かいたはずよ」
名前を出さなくても、六年生って言っただけで通じた。期待が膨らむ。
「その兄ちゃんたちって今何歳?」
確かと頭を抱えて、何やら数字を数えている。
「はっきりとは覚えてないけど、二人とももう成人式終えて大人のはずよ。なんで?」
「聞きたかっただけ! ありがとう!」
その話を聞いて舞い上がった俺は、そのテンションのまま自分の部屋に入った。充電していたスマホを開けて五人のグループラインにメッセージを送る。
「高校生たちもう大人だってさ!」
すかさず既読が付く。誰が最初に返事をくれるのだろうと、ワクワクしていたら彰吾が返事をくれた。
「それ本当?」
なんで疑うんだよと怒りそうになるのを我慢しながら返事する。
「本当だってば。母さんにちゃんと聞いたから」
「だってもしそれが本当だったら、その六年生と兄ちゃんたち十歳以上離れてるってことになるんだぞ」
既読の数が増えていくだけで、彰吾以外返事をくれない。
「そういう兄弟もいるだろ」
「俺は信用できない」
なんでだよと叫んでスマホをベッドに投げつけた。こんな条件を出してきたのは彰吾じゃないか。それを解決したってのに、なんで納得できないなんて言うんだよ。イライラしてしょうがなかった俺は、投げたスマホを拾ってどうすれば納得させられるかを考える。
「言い出したの、彰吾だぞ。今さら信用できないとか言うなよ。じゃあどうすればいいんだよ」
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