『付き合ってくれないなら、死んでやる。』

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『おはよう、まおり』 二通目だ。携帯の画面に表示された時刻は昼過ぎ。彼からメッセージが送られて来たのは朝の八時五分。ワンルームの狭いフローリングに敷きっぱなしにした薄い布団の端で膝を抱え足元に置いた包丁と携帯を交互に眺めていると気がついた頃には夜が明けていた。 カタカタと震える手で何度も何度も何度も何度もメッセージアプリを開いては消してを繰り返す。カーテンの隙間から漏れる光に脅えた。数十時間前より遥かに冷静になった頭の中で、昨日の事を後悔する。 『俺はこれからお昼ご飯』 今更、後悔したところでもう遅い。 再び届いたメッセージに我慢できず携帯を壁へ投げ付けた。バンッ!…薄い壁の向こうに住む隣人は居ない。もう半年以上は空き部屋だ。だからといってモノを乱暴に扱っていいわけではないが、そんな事を気にする余裕もなかった。
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